社会人も学生も一読の価値あり!職業選びの参考にしたい本、鈴木祐著「科学的な適職〜最高の職業の選び方〜」の要約と感想

読書・書評

こんにちは、Naraoです。

みなさんは、今の自分の仕事が最適な「適職」と言えるだろうかと考えたことはありませんか?

今日は2019年に出版された、仕事選びについての本をご紹介します。

正式なタイトルはもっと長くて「科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方」といいます。

この本は、今の自分にとって最適な職場とはなんだろう?と考えるときの参考になる本です。

学生さんなら、これから職業を選ぶときの考え方を知ることができます。

現在働いている人なら、独身者、家庭持ち、年齢、性別など、現在の自分の置かれた環境を踏まえて、ベストな仕事たとは何か?を考えるときの参考になる本です。

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「科学的な適職」著者の鈴木祐さんについて

写真引用:prtimesより

著者の鈴木祐@yuchrszkさんは1976年生まれのサイエンスライターです。

10万本の科学論文読破し、600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを実施しており、ご自身のブログ「パレオな男」では、心理学や健康科学に関する知見を紹介し続け、なんと月間250万ページビューという驚異のPV数を誇っています。

そしてあのメンタリストDaiGoさんのリサーチ協力者としても活躍されています。

本書の内容と本書における「適職」とは?

本書では、仕事選びのための考え方を、5つのステップで紹介しています。
それらの頭文字をとって「AWAKE(アウェイク)」と表現しています。

ステップ1:幻想から覚める(Access the truth)
ステップ2:未来を広げる(Widen your future)
ステップ3:悪を取り除く(Avoid evil)
ステップ4:歪みに気づく(Keep human bias out)
ステップ5:やりがいを再構築する(Engage in your work)

そして、本書では「科学的に」考えた適職について書かれています。

科学的とは、論文や研究など、様々な調査に基づいた結果をもとに分析された、ということです。

さらに、この本で言う「適職」の定義は、「幸福が最大化される仕事」を指します。

性格や技能的にどんな仕事が向いているか、ということではなくて、その人にとって幸福度が上がる仕事や環境が適職としています。

つまり、日々の仕事を通して生活の満足感が上がり喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどネガティブな感情を減らしてくれるような仕事のことです。

だから、仕事とは単に自分の才能が発揮できる仕事や、好きなことができる職場と言う意味ではありません。

「科学的な適職」を読んで思ったこと

「サンプル数1の体験談」のデータとしての信頼性は高くない

この本の最初の説得力は冒頭6ページ目にある「はじめに」の部分にありました。冒頭で著者はこんな主張をしています。

キャリアアドバイスについて書かれた本や意見はたくさんあります。
そして、どの考え方にも一定の説得力があり、どれに従うべきか戸惑ってしまう人が少なくないはずです。

ところが、これらのアドバイスが問題なのは、その大半が個人の経験や思考にしか基づいていない点にあります。

・好きなことで成功した人ほど「好きを仕事に」と主張する
・安定志向が強い人は固い職業をほめたたえる
・株で当てた人は積極的な投資を進める
・ブログで稼いだ経験があればブロガーを持ち上げる

ある程度の参考にはなるでしょうが、それで誰もが成功できる保証などないのは間違いありません。

数々のビジネス書には、それぞれ違った立場の人が、自分の体験や事例をもとに職業について述べています。

ただし、それは「サンプル数1」のデータで自分にあてはまるとは限らないのです。
成功者が書く本は「その人の体験談である」ことを踏まえたうえで読む必要があります。

それに対して「科学的」な職業選びでは、あくまでもデータに基づいて分析した結果なので、「誰かの主観」によるものではないということが言えます。

もちろん、データに基づいたからといっても、それが全員に当てはまるものではない、という意味では同じですが、より多くのデータから導かれた傾向だというならばある程度多くの人にあてはまるのではないかという気もします。

スティーブジョブズだって最初からそのIT企業を選んだわけじゃない

仕事選びのステップ1の中で、仕事選びにおいてやってはいけない「7つの大罪」について書かれいます。

そのうちの1つに「好きを仕事にする」という項目があります。

youtuberだって「好きを仕事に」とか言っているのに・・・
なぜダメなの?と思ってしまう見出しです。

アップルの創業者で、「成功者」の代名詞のようなスティーブジョブズは若いころ、宗教や哲学が好きでアジアやインドを旅していました。

スティーブウォズニアックと出会いITビジネスの可能性を感じたためIT起業家になりましたが、もし当時の「好きなこと」のままなら思想家になっていたはずです。

他にも例があります。

論語で有名な孔子だって、本当は政治家になりたかったのに、誰にも雇ってもらえず門前払いでした。それでも自分の考えを主張していたところ弟子ができて思想家になったのです。

仕事への「適合派」と「成長派」

ミシガン州立大学が2015年に大規模な調査を行いました。

被験者の仕事観」を「適合派」と「成長派」の2つのパターンに分け、数百を超える職業から幸福度やキャリアなどに対する聞き取り調査を行いました。

適合派とは「好きなことを仕事にするのが幸せだ」と考えるタイプ。
成長派とは「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考えるタイプ。

この調査によると、適合派の幸福度が高いのは最初だけで、1年から5年のスパンで観た場合、成長派の方が、幸福度やキャリア、年収などのレベルが高かったという結果が出ています。

この結果から考察されたのは、

適合派は情熱を持てる仕事を探すのが上手だが、いざ仕事を始めてみると仕事以外のトラブルといった大量の面倒ごとの多さに、現実の仕事に対するギャップを感じやすくなる。

成長派は、もともと仕事への思い入れがない分だけトラブルに強い傾向があり、トラブルも含めて仕事を受け入れることができる、と分析されています。

他にも同じような職業調査の結果を踏まえて、仕事への情熱は後からついてくる、といった考え方が仕事が好きになるコツだと思いました。

適職選びの5つのステップ「AWAKE」

本書のメインである適職選びの5つのステップ「AWAKE」について簡単に概要を紹介します。

内容が気になる方はぜひ本書を手に取って読んでみてください。

ステップ①幻想から覚める

ステップ1では、職業選びで陥りがちな「幻想」を「仕事選びにおける7つの大罪」として解説しています。項目を見ただけでは「なんで?」と思うところもあると思いますが、読んでみるとその主張の理由が「科学的に」説明してあります。

なぜ、これらを仕事選びの基準にしてはいけないのか、ぜひ本文を読んでみてください。

大罪1 好きを仕事にする
大罪2 給料の多さで選ぶ
大罪3 業界や職種で選ぶ
大罪4 仕事の楽さで選ぶ
大罪5 性格テストで選ぶ
大罪6 直感で選ぶ
大罪7 適性に合った仕事を求める

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ステップ②未来を広げる

ステップ2では、キャリア選択を誤らせる最大の原因を特定し、人間が本当に幸福を感じる仕事とは何かについて解説しています。そして、仕事の幸福度を決める7つの徳目を紹介しています。

①自由…不自由な職場はタバコより体に悪い
②達成…錯覚の「達成感」でも人間のモチベーションはブーストする
③焦点…「攻撃型」に適した仕事、「防御型」に適した仕事
④明確…「賃金が不公平」「指示が一貫しない」が体調を破壊
⑤多様…宝くじで1億円を当てても1年で慣れる
⑥仲間…自分に似た人がどれぐらいいるか?
⑦貢献…満足度の高い仕事トップ5

ステップ③悪を取り除く

ステップ3では、職場環境に潜むの8つ悪い項目をあげ、これらがなぜ悪なのかを説明しています。時間の乱れや職務の乱れが職場環境を悪くしていることを指摘しています。

①ワークライフバランスの崩壊
②雇用が不安定
③長時間労働
④シフトワーク
⑤仕事のコントロール権がない
⑥ソーシャルサポートがない
⑦組織内に公平が多い
⑧長時間通勤

ステップ④歪みに気づく

このステップでは人間の脳に巣くう「バイアス」と言うバグ(エラー)と、それらを取り除くための4つの技法について説明しています。

ステップ⑤やりがいを再構築する

仕事の満足度を高める7つの計画について説明しています。

この本では、適職探しのために転職を勧めているのではありません。

もし、今ブラック企業に勤めている場合は早めに転職するのがベストですが、そうでなければ今の仕事について、「この仕事を選んで正解だったのか?」と言う判断は難しいものです。

今の仕事の満足度を判断し、その仕事の満足度を高めていければ、今の仕事を通じて「幸福度の最大化」を目指すことだって可能です。

最後に

今日は、「科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方」という本についてご紹介しました。

この本は「主観」ではなく「客観」によって考えられた「適職」について書かれている本です。

この本を通じて学んだのは「情熱があるから努力できる」ではなくて、「努力をしたから情熱を持てる」んだということ。

学生も、社会人10年目の人も、それぞれの現在の状況から「幸福を最大化する仕事」とは何かを考えるきっかけにできる1冊です。

本書が気になった方はぜひ書店で手に取って読んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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