兵庫県宝塚市のボーガン殺傷事件に思う。クロスボウ(ボウガン、ボーガン)の所持に許可や免許は必要ないのか?

日記・雑記

2020年6月4日、兵庫県宝塚市でボウガンで撃たれて女性2名が死亡という事件がありました。

ライブドアニュース
6月4日午前10時15分ごろ、兵庫県宝塚市安倉西の住宅で「耳に矢が刺さった女性が助けを求めている」と近所の人から119番があった。県警によると、女性2人が死亡し、2人がけが。
 県警は住宅内でボーガンを撃った疑いがあるとして、殺人未遂容疑で現場の家に住む大学生野津英滉容疑者(23)を現行犯逮捕した。

ライブドアニュース

この事件で死亡したのは40代の容疑者の母親と70代の祖母だそうです。

殺人事件にも発展したクロスボウ(ボウガン)は誰でも手に入れられてしまうのか?

クロスボウ (ボウガン) の所持に規制はないのか?

今日はそんなクロスボウについて調べたことをまとめてみました。

【2021年9月追記】令和3年6月16日に改正銃刀法が公布され、クロスボウの所持は「原則禁止・許可制」となりました。

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クロスボウ(ボウガン、ボーガン)とは?

いろいろな表現がされていますが、ニュースの記事の中にあったボーガンとは「クロスボウ」という西洋で用いられた弓の一種です。

日本語の「ボウガン(ボーガン)」は株式会社ボウガンの商標名です。

クロスボウは洋弓銃(ようきゅうじゅう)とも言われます。

クロスボウ(ボウガン)の威力は?

クロスボウ(ボウガン)の威力がわかるこんな動画がありました。

ラジカセのような厚みのある家電製品も簡単に貫いています。

クロスボウ(ボウガン)はどうみても武器だ

アーチェリーがオリンピックの競技種目になっているのに対して、クロスボウの認知度はスポーツ競技として日本に浸透しているとは言えません。

そしてクロスボウの殺傷力は驚異的です。

そして銃のような引き金による発射は、アーチェリーのような技術は必要とせず、初めて持った人でも撃つことができます。

これらを考えるとクロスボウは玩具やスポーツ用品ではなく、どうみても武器です。

使い方次第で人を殺してしまうクロスボウ。

こんな「武器」に規制はないのでしょうか?

クロスボウについては残念ながら今は明確な規制がないというのが現状だそうです。

【2021年9月追記】ようやく法改正!クロスボウは所持禁止となりました。

ようやく銃刀法が改正され、クロスボウの所持は「原則禁止・許可制」となりました。

改正法は、公布の日(令和3年6月16日)から9か月以内に施行されます。

改正法の施行された後に不法所持した場合、「犯罪」となり罪に問われます(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)

クロスボウ(ボウガン)は誰でも買える

業界の自主的な取り組みで、店頭では年齢確認や登録をすすめているようですが、さきほども書いた通り、残念ながら現時点では、クロスボウの所持には現在のところ法的な規制はなく、また、インターネットでも販売されていて実質的に誰でも買えてしまいます

価格も、高いものは18万円くらいしますが安いものなら2万円くらいでも売っています。

【2021年9月追記】法改正によりクロスボウの購入には許可証が必要となりました。

令和3年6月16日銃刀法が改正され、クロスボウの所持は「原則禁止・許可制」となりました。公布の日(令和3年6月16日)から9か月以内に施行されます。

クロスボウを買ったり所持する許可証を持っている必要があります。

だれでも買えた危険な状態からは一歩脱することができました。

ちなみに規制の対象となるクロスボウの定義は

「引いた弦を固定し、これを解放することによって矢を発射する機構を有する弓のうち、内閣府令で定めるところにより測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの」

となっています。

クロスボウ(ボウガン)による過去の事件

アーチェリーや和弓を使った事件はあまり聞いたことがありませんが、クロスボウによる事件は過去にもいろいろありました。

1993年10月:東京・板橋区でジョギング中の女性が背中を撃たれ全治2か月の重傷。

2011年5月:青森・弘前市で57歳の男が親戚の女性の腹を撃ち殺害。

2013年3月:神奈川・川崎市で19歳の少年が母親の頭を撃ち殺害。

2015年4月:茨城県取手市の路上で自転車で帰宅途中の男性(47)が足をクロスボウで射抜かれ重傷。

なぜクロスボウ(ボウガン)は法律で規制できないのか?

エアーガンは、威力のあるものは年齢制限(18歳以上)がされているのに、なぜこんなに危険なクロスボウは制限できないのでしょうか?

販売店側では注意を促しているサイトもあります。
これはbody-guardという護身用品の販売サイトの表示です。

クロスボウは日本でも愛好家も増えてきて非常に楽しいスポーツグッズですが、所持・購入・使用について明確な規制がございません
したがって使用方法を誤ると重大な事故になる可能性があります。
使用に関しては弓矢・アーチェリー同様の施設またはそれに相当する安全の確保できる場所で行ってください。

body-guard

これほど危険なクロスボウ(ボウガン)が規制できない理由。

それは、クロスボウがスポーツ用品扱いになっていることや、部活動ですでに学校教育にも取り入れられている弓道用の和弓アーチェリーとの兼ね合いから、クロスボウだけを法規制の対象にすることができない、ということだそうです。

【2021年9月追記】法改正でクロスボウは所持禁止となりました。

銃刀法改正により、クロスボウの所持は「原則禁止・許可制」となりましたが、すでに持っている人はどうなるのでしょうか?

改正法が施行されると、すでに所持している人は施行から6カ月の間に次の対応を迫られます。

① 所持許可を申請する
② 廃棄する
③ 適法に所持することができる人に譲り渡す

いずれの対応もせず6か月経過後も所持し続けた場合は「不法所持」となって「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。

クロスボウを規制できるのは各都道府県の条例

テレビ番組「行列のできる法律相談所」でおなじみの弁護士、菊池幸夫さんは2015年の事件の取材に対して、

青少年保護育成条例で有害玩具に認定し規制する道はあるが、アーチェリーや和弓も似た機能を持っており、クロスボウだけ規制するのは難しい」と答えておられました。(J-CASTニュースより

法規制とは別に警察官は職務質問などでクロスボウの所持を発見したとき、状況によっては軽犯罪法違反の現行犯として取り締まることができるそうですから、不審な人に対しては職務質問で予防してほしいものです。

ちなみに、茨城県では2015年7月からすでにボウガンを有害玩具にしていしています。他の都道府県にも広がればいいのですが。

2020年6月6日追記
今回事件のあった兵庫県では、さっそく条例でボウガンを「有害玩具」に指定しました。 今後は18歳未満への販売は禁止され、違反すると30万円以下の罰金の対象になります。(2020年6月6日読売新聞より)

クロスボウの規制が進んでいる都道府県

2020年6月15日追記:2020年6月現在の各都道府県のボーガン規制の状況です。
すでに規制されているところと、まだ規制されていないけどこれから18歳未満への規制を検討しているところ、そして検討が進んでいないか無回答だった都道府県について一覧表にしてみました。

6月14日(日)の読売新聞の記事がベースですが、今後規制について進展はがあれば更新していきます。

No.都道府県規制あり検討中なし(or 無回答)備考
1北海道
2青森県
3岩手県
4宮城県
5秋田県
6山形県
7福島県
8茨城県
9栃木県
10群馬県
11埼玉県
12千葉県
13東京都
14神奈川県
15新潟県
16富山県
17石川県
18福井県
19山梨県
20長野県
21岐阜県
22静岡県
23愛知県
24三重県
25滋賀県
26京都府
27大阪府
28兵庫県事件後に規制
29奈良県
30和歌山県
31鳥取県
32島根県
33岡山県
34広島県
35山口県
36徳島県
37香川県
38愛媛県
39高知県
40福岡県
41佐賀県
42長崎県
43熊本県
44大分県
45宮崎県
46鹿児島県
47沖縄県
141122

まとめ

今日は、クロスボウ(ボウガン)を使った事件のニュースをみて、クロスボウについていろいろと調べてみました。その殺傷力を考えると、普通のスポーツ用品とは到底思えません。

【2021年9月追記】
これまでは条例で「有害玩具」に指定するしかなかったクロスボウですが、ようやく銃刀法の改正が行われ、法律の規制を受けるようになりました。
玩具の域を超えたクロスボウによる事件・事故が減ってほしいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

参考サイト:クロスボウの所持が禁止されます!(警察庁)

コメント

  1. Fiqohh より:

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